ANA系「エアージャパン」が英語的に日本人にやさしい理由

日本人利用者の立場から航空会社名について考える

ANAホールディングスが新たな中距離国際線のブランドを「エアージャパン」と名付け発表しました。

2023年後半からアジア・オセアニア方面への就航を計画し、運賃は格安航空並みで、機内快適性はANAのフルサービスキャリア並みを目指すとのこと。きっとその頃には新型コロナ感染も収束するはずなので、旅行好きな人は、今から楽しみなのではないでしょうか。

海外で嘲笑された日本の航空会社名

これまでANAグループが立ち上げたブランド名に「バニラ・エア」というのがありました。

日本国内ではあまり騒がれませんでしたが、この社名発表の瞬間に、海外メディアからネーミングについて嘲笑を受ました。なぜでしょう?

バニラ・エア発表記者会見では「バニラアイスクリームのように多くの人に愛される航空会社を目指す」と社長が言っていましたが、バニラというのは英語ではアイスクリームなどに使われるバニラ豆から採ったエッセンスの他に、「平凡な/面白みのない/ありきたりな」という意味があるのです。

僕もちょうどその頃BBCワールドサービスのラジオを聴いていてニュースコメンテーターがちょっと鼻で笑うような感じでこんなことを言っていたのを覚えています。

「どうしてこんな社名にしたのか・・・。事前にコンサルタントに相談するとかしなかったのかなあ・・」

もう一つ、致命的な弱点がありました。

日本人が発音できない日本の航空会社名?

「バニラ・エア」という名称。まがりなりにも国際線を飛ばす会社名なのに、普通の日本人が発音出来ないことに気付かなかったのでしょうか?

vanilla の発音記号は、[vənílə]。「L」の発音はごまかしたとしても(?)、まず「v」の音が普通できませんよね。下唇に歯を当てて出す v の音。

それだけでなくイントネーションもちょっと難しいです。単に「ヴァニラ」と言ってもなかなか通じないでしょう。(正しい発音はこちら↓)

海外で英語で自分の乗る便の航空会社名を伝えたりする機会は必ずあります。タクシーの運転手も、航空会社を聴いて、一番近いターミナルに着けてくれようとしてくれます。

バニラ・エア(vanilla air)の vanilla って、英語が堪能な人、もっと言うと発音がかなりキチンと出来る人でないと難しいと思います。英会話を習う人の話でよく耳にしますがも「海外で注文出来なかったアイスクリームの味」でvanilla はダントツナンバーワンです。

日本発着の飛行機会社だから当然乗客の大多数が日本人であるのに、このことに気付かなかったことに僕は驚きました。

幸い(?)バニラ・エアは、その後2019年にピーチ・アビエーション(Peach Aviation)との統合でなくなりました。

「ピーチ・アビエーション」も間違っとるぞ~!

ちなみにそのピーチ・アビエーションの aviation の読み方も英語としては間違っていて、カタカナであえて標記するなら<エイヴィエイシャン>となります。(正しい発音はこちら↓)

ついでに言うと、バニラ・エア設立前にANAと提携していたマレーシアの「エア・アジア(Air Asia)」の Asia も読み方間違いで、英語では<アジア>ではななく<エイジア>ですね。

あくまで日本国外に出たら問題になる、ということで、国内にいれば知らなくても何事もないでしょうけどね。

これらに比べると、今回の「エアージャパン」なら、英語で言っても難しい発音無しで、ネーミング的にはバッチリでしょう。

早く制約無しで国際線で気軽に空の旅に出かけられる日々がもどってくるといいなあ、と思ながら、僕はこの記事を書いていました。