ゴーン逃走劇を英語で

2019年暮れの最後に飛び込んできた「カルロス・ゴーン氏レバノンへ逃亡」には驚きましたね。

年末年始は各メディが「どうやって日本を脱出したのか」の追究・今後の展開予想など、このニュースを追い続けています。

さて今年最初は、このニュースを取り上げ、中で使われている英語を一緒にみてゆきたいと思います。

まずちょっとクイズ的に・・・

これはThe Economistの記事の見出しですが、意味がわかるでしょうか?

The flight of a car-industry megastar facing trial for financial crime shocks Japan

ちょっと文章に直訳を付けてみます。

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The flight
逃亡が

of a car-industry megastar
自動車産業の大スターの

facing trial
公判待ちだった

for financial crime
財務不正の罪で

shocks Japan
日本に衝撃を与える

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ここに出てくる flight は「飛行」という意味ではなく、動詞 flee (逃亡する)の名詞形「逃亡」です。

「face trial」は「裁判を受ける」という意味ですが、まだ取調中で裁判自体は始まっていないので、上記のような訳になるかと思います。

では、この記事の中も一部読んでみましょう。難しい単語もいくつかありますが、みなさんおそらく日本語でこのニュースを知っているので、日本語訳を参考にすれば理解できると思います。

*下線のついた単語はクリック(タッチ)すると訳語が出てきて、発音も聞けるようになっています。

今回から文の構造がさらに理解しやすいように長い文の主語と述語は太字にしています。

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On December 31st
12月31日、

Carlos Ghosn,
カルロス・ゴーンは

the former boss of Renault-Nissan,
元ルノー日産トップの

who was arrested
逮捕された

in Japan
日本で

in November 2018
2018年11月に

on charges of financial misconduct,
財務不正行為の罪で

jumped bail
保釈中に行方をくらましまし

and fled to Lebanon.
レバノンへ逃亡しました

He grew up there
彼はそこで育ちました

and it has no extraditionarrangements
そしてそこは身柄引渡協定を結んでいません

with Japan.
日本とは。

Mr Ghosn says
ゴーン氏は述べています

he is a victim
自分は犠牲者だと

of “injustice and politicalpersecution
「不正義と政治的迫害」の

by Japan’s legal system.
日本の法制度による。

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この最初のセンテンスは太字部分が主語・述語で、日本語と文の構造が違うので、慣れないと難しく感じるかも知れませんが、ゴーン氏についての説明がいろいろ挟み込まれるような形になっています。

boss は単に職場の「上司」だけでなく、会社の社長・トップの事も英語では boss と言います。

jump bail の「bail」は「保釈」という意味ですが、jump という動詞には「逃げる」という意味もあり、セットで「保釈中の被告が失跡する」という意味になります。ジャンプして跳んで逃げるイメージで覚えられますかね?

ちょっと難しい単語がいくつか出てきますが、どれもニュースを読む上で必須のキーワードばかりです。何度も目にして慣れるしかないですね。実はすでにこのブログ・メルマガでは何度も出てきているものがほとんどです。塵も積もれば山となる、ので、地道に読み続けてください。

He grew up there の there はもちろんレバノンのことです。日本はレベノンと犯罪者の引き渡しに対する協定を結んでいないので、レバノンはゴーン氏を日本に送還するつもりは無いようです。

さて、この事件について・・・・

日本の刑事裁判の有罪率は99%ですが、この数字は世界的に見て異常で、起訴された被告の人権無視で、外部との接触を遮断した事情聴取を続け自白を引き出すというやり方に海外から批判が集まっているのは事実。この辺り、レバノンでゴーン氏は戦ってゆくつもりなのでしょう。。

具体的にゴーン氏がどうやって関西国際空港から飛行機に乗り込んだのかなど、まだ分かっていませんが、一般の旅客機ではなくプライベートジェットで飛んだということが一つの手がかりになると思います。実際にプライベートジェットを所有し頻繁に飛んでいるホリエモンこと堀江貴文さんによれば「プライベートジェットは乗り口が違い、セキュリティチェックも国内線と国際線の区別がゆるく、一般の国際線ほど厳しくない」「荷物チェックも、おそらく大型楽器ケースを検査できるほど大きなX線装置は無いので、もしケースに隠れていたら、そのまま検査されず通れたのではないか」「貨物室は寒いが防寒してがんばってケースに隠れていたのでは」とコメントしていました。

この一連のストーリーを映画化するという話も既に出ているようですが、ぜひ見てみたいと考えている人は僕だけではないでしょう。