今回はちょっとした英語のミスで、世界を敵に回してしまったというお話です。
上の写真は、先月、京都の高島屋で張り出されたポスターです。これが世界を敵に回す原因となったのですが、みなさん、なぜだか、わかりますか?
(Photo: Twitter/@ponkotuidai)
その理由をこれから一緒に見ていきましょう。
英文は「Japan Today(Sora News 24)」のこの記事から引用しています。
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We’ve seen
我々は見てきました
a lot of Engrish on display
多くのヘンテコな英語が表示されているのを
in Japan
日本で
over the years,
長年
with big companies
大企業の例が
like Pizza Hut and Osaka Metro
ピザハットや大阪メトロのような
proving that
証明している通り
straight translations into English
英語への直訳は
from Japanese
日本語からの
don’t always pan out
かならずしも上手くいかないということを
as planned.
意図したようには
Now,
今、
another English-language hiccup
もうひとつの英語による障害が
has come to light,
明るみに出ました
this time
この度、
on an ad
広告に
from Takashimaya department store
高島屋百貨店の
in Kyoto.
京都にある
The large,
その大きな
eye-catching poster
目を引くポスターは
shows
見せています
a person
人を
in a koi-patterned mask
鯉模様のマスクをした
with a school of koi fish
鯉の群れと一緒に
rising up
上に向かって登ってゆく
in the background.
背景で
Red text
赤い文章は
written on the white background
白の背景に書かれた
reads:
~と書いていあります
“Rising Again.
再び立ち上がる
Save The World from Kyoto Japan.”
世界を救え 日本の京都から
“Save The World from Kyoto Japan”
「Save The World from Kyoto Japan」は
意味します
we should all be ducking for safety
私たちが皆、安全のために身をかがめるべきだということを
because Kyoto is coming to get us.
なぜなら京都が私たちを襲ってくるから。
It didn’t take long
時間はかかりませんでした
for the ad
その広告が
to go viral
世界中に伝播するのに
online,
インターネット上で
with English speakers pointing out
英語話者たちが指摘し
that the message makes it sound
そのメッセージは聞こえるんだと
as if Kyoto is a rising superpower,
まるで京都が立ち上る強大な勢力で
out to fight the world
世界に挑みかかる
like a terrifying final boss
まるで恐ろしい最後の強敵のように
from a video game.
ビデオゲームから出てきた
Comments included:
以下のようなコメントがあります
“Is Kyoto the enemy of the world?”
京都は世界の敵なのか?
“Are Kyoto attacking the world by sending koi fish to smother their faces?”
京都は世界を襲おうとしているのか 鯉を送り込んで 人の顔を覆って窒息させて
“All the world are belong to Kyoto!”
全ての世界は京都のものだ!
”A comma would have gone a long, long way.”
一つコンマがあれば、とても効果があったのにね。
“I get what they mean, / but now I have this image / of Kyoto turning into a giant robot / and menacing the rest of Japan.”
その意味するところは分かった / だけど今、私には姿が目に浮かびます / 京都が大きなロボットに変身して / 日本の他の地域を脅威にさらしている
It just goes to show
それは証明しています
the importance of punctuation,
句読点の重要さを
because the intended meaning
なぜなら意図された意味は
would’ve come across a lot better
ずっと良い印象なはずなので
with a couple of commas,
数個のコンマを付ければ
which would make it:
そうするとこういう意味になったでしょう
“Rising Again.
「再び立ち上がる。
Save The World, from Kyoto, Japan.”
世界を救おう、日本・京都より。」
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「ええ~、なんでこうなるの」っといった誤訳とか珍訳はよくみかけますが、今回は本当にちょっとした句読点(コンマ)をいれるだけで防げたミスです。
事を重く見た高島屋京都は、結局このポスターに白いカバーをかぶせて見えないようにしてしまいました。
日本在住の教養あるネイティブスピーカーがたくさんいるのに、どうして英語の校正をお願いしないのかなあ、と思いますよねえ。
でも、まあいろいろあるようで、以下はJapan Today に寄せられたこの記事へのコメント欄でみつけました。
I used to do English copywriting / for an ad agency / here. Often my work was criticized / by my Japanese bosses / for using incorrect English, / who returned copy / with their own nonsensical and poor grammatical ‘corrections’.
私はかつて英語のコピーライターをしていました/ ある広告会社で / ここ(日本)で。しばしば私の仕事は批判されました / 私の日本人の上役達に / 正しくない英語を使っているといって / それで彼はコピーを返してきたよ / ばかげて ひどい文法の直しを入れて
プロのネイティブスピーカーのコピーライターが書いたのをどうして英語が完璧でもない日本人が勝手に書き換えるかな?
皆さんの周りでは、こんなことは起きてないでしょうか?
この抜粋記事の最初に「Engrish」という言葉が出てきました。さらっと普通に「English(英語)」だと思って素通りされるといけないと思い、あえて赤い字にしました。
「Engrish」とはアジア系言葉を話す人達が使用するスペリングや語法・表現の誤った英語のことをからかいの意味も込めて呼んだもの。この語のスペリングには、日本人がL・Rの区別がつかないのも揶揄が込められているようです。
「ひどいじゃないか」と言いたくもなりますが、実際、身の回りを探すとおかしな英語表示とか、商品名とかたくさんあります。
「国際化時代だ」「外国人インバウンド」とか言っている時代に、耳の痛い話でもあるますね。
じゃあ、それを防ぐにはどうしたらいいでしょうか?
変な英語表記・商品名を聞いても、「しょせん英語だろう」と気にもしない人が多いでしょうね。