「元男性選手の女子スポーツ競技参加は是か非か?」を英語で

ジェンダー問題関連英語を学ぼう

元男性の選手が女子水泳に優勝し大問題に

世の中のジェンダー平等への意識が深まり、同性愛者の権利などもどんどん認められるようになってきました。そんな中、「元男性」がスポーツ競技において女子の大会に出場することが認められるケースが出てきて、その是非について議論が分かれています。

以下はイギリスのThe Gardian の記事の見出しです。

ここには載せられませんが、リンク先の記事では写真も見られます。

Lia Thomas’ victory at NCAA swimming finals sparks fierce debate over trans athletes

NCAA水泳決勝でのLia Thomasの優勝が、トランス・アスリートをめぐる激しい議論を巻き起こす

 

ちょっと難しい単語(TOEIC出題レベル)も入っているので、意味のかたまりごとに直訳直解訳をつけてみました


Lia Thomas’ victory
リアトーマスの勝利が

at NCAA swimming finals
NCAAの水泳決勝での

sparks
火をつけました

fierce debate
激しい論争に

over trans athletes
トランスジェンダーアスリートをめぐる


【ボキャブラリー】
□ spark : 名詞で火花、(事件や騒ぎを)引き起こす
□ fierce : 激しい、猛烈な、狂暴な
[よく見かける例]  fierce competition(過酷な競争)
※ NCAA:「National Collegiate Athletic Association」全米大学体育協会」

 

トランスジェンダーって何?

上記例文に出てくる trans は transgender の略です。trans woman (トランス女性)というのは生まれつき男性だった人だが今は自分が女性であるという性自認(gender identity)を持つ人です。逆にtrans man (トランス男性)は、元女性で自分を男性と性認識している人のことです。

自分の性を変えるにあたって、ホルモン入れ替え療法(hormone replacement therapy)や性別適合手術(sex re-assignment surgery)などを受けていることがあります。

これはいわゆるLGBTQの「T」に当たります。

日本ではアルファベットの頭文字を取ったLGBTQという言葉だけが独り歩きしていて、内容をあまり考えてないことが多いようですね。(LGBTQの説明はまたのちほど)

 

トランス女性活躍が物議

リア・トーマス選手は、trans woman、つまり元男性ですが、女性であるというジェンダーアイデンティティを持つ人です。性転換のためにホルモン療法を受けています。彼女は3月16日・19日に行われたNCAA水泳大会の500m freestyleで優勝者となったわけですが、これに先立つ昨年12月の1650ヤードフリースタイル競技でも従来の記録を38秒も縮める新記録を打ち立て優勝しました。今回の大会でも楽に優勝できるであろうことが予想されていました。

これが大きな論争を巻き起こし、多くの人から「女性選手に対して不公平ではないか?」という声が出て鳴りやみません。なぜなら生物学的に言うと、トーマス選手は男性だからです。こうした問題はアメリカでけでなく、世界中で起き始めています。

 

アンフェアな優位性

問題の焦点はtestosterone(テストステロン)という、男性ホルモンにあります。テストステロンのレベルが高いと筋力や持久力の面で有利に働きます。

トランス女性選手は一応大会に出場するにあたり、テストステロンレベルを押さえる薬事療法を受けて、一定レベル以下であることを確認できた場合にはトランス選手も出場できる、という決まりになっています、

しかし、たとえトーマス選手が現在ホルモン治療も受け、テストステロンのレベルが大会で認められる女性の値の範囲であったとしても、やはり「フェアではない」という見方があります。

人間の成長過程でテストステロンのレベルが一番大きく高まる時期が思春期です。今回の問題を考えると、トーマス選手のようなトランス女性は、思春期を男性として過ごしているため、高いレベルのテストステロンのおかげで、通常の女性よりも強靭な肉体を得ていることになり、生まれつきの女性に対して不公平な優位性(unfair advantage)を持つことになります。

おそらく今後はトランス女性のスピーツ競技参加に対し、なんらかの規制やルールが出てくるのではないでしょうか。

実は僕の周りにはLGBTQ関係の人は全くいません。(気づいてないだけかもしれません)

そんな僕がある程度の知識を得るようになったのは、アメリカのテレビドラマ「The L Word※(邦題「Lの世界」)を見ているからでしょう。過激なシーンが多過ぎで、誰にでもおススメできるかどうか分かりませんが、登場人物としてLGBTQ全ての例がキャラクターとして出てくるので、勉強にはなると思います。僕自身、この番組を観る前と後では認識が変わり、そういった方々に対する理解は非常に深まったと思います。(といっても、The Word は男性のホモセクシュアルではなく、レズビアンの女性の世界が中心ですが・・・)

※日本でも Hulu で The L Word: Generation Qとあわせて観れます。

 

LGBTQを改めて英語で

SDGs や LGBTQなど、日本人はアルファベットの頭文字でできた言葉を使うのが好きですが、あらためて、「LGBTQ」を英語知識と一緒に説明すると以下のようになります。

L:Lesbian
女性の同姓愛 ドラマのThe L Word の「L」はこれを指します。

G: Gay
同性愛者 homosexual と同じ意味。男女どちらにも使いますが、女性同士の場合は lesbian

B:Bisexual
バイセクシャル(発音はバイセクシュアル)
男性も女性も両方愛せる人。

T:Transsexual
性転換者、生まれた時と違う性を自認する人

Q: Queer (クウィア)
異性愛者や生まれ持った性別と心の性が一致する人とは違う人達で、通常のLGBTにも当てはまらない人のこと。この単語の元々の意味は「奇妙な・風変りな」。

今はそうでもないかもしれませんが、ジェンダー問題は会社の採用や人事などにも関連するので、そのうちこういった言葉もビジネス英語の一部として学ぶことになるかもしれませんね。