これは致命的なのだけど・・・
■ ある日のカラオケで気づいた、深刻な違和感
先日、英会話の受講生と英語の歌を歌おうとカラオケに行ったとき、こんなのを画面で見かけました。
She told me to sit anywhere.
カタカナ表記:シー トールド ミー トゥ シット エニホェア
英語をちょっと勉強してきた人ならすぐ気づくはずです。
この「sit」に「シット」と振り仮名がふられていることの危険性に…。
これ、ネイティブスピーカーを含め、きちんと英語を聴けて話せる人が見たら、
“shit anywhere”(どこでもウ○コしてもOK)に聞こえます。
「sit(座る)」と「shit(ウ○コ)」…
たった一文字の違いですが、発音が正しくできないととんでもない誤解を生む可能性があります。
この歌の歌詞こうだったので(↓)
She asked me to stay and she told me to sit anywhere
そのまま訳すと「彼女は私に『うちに泊まっていってよ、そんでもって、その辺のどこでウ○コしてもいいよ!」って。
犬や猫にもそんなこと言いませんよね(笑)
■ 学校ではなぜ教えてくれなかったのか?
ここで思い出してほしいのが、日本の英語教育の現状です。
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中学・高校では英語が必修
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ALT(外国人英語講師)も導入
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リスニングも授業〜普段のテスト〜受験に組み込まれている
にもかかわらず、こうした初歩的な発音の違いが、ほとんど教えられていません。
世の中の「カタカナ英語(表記)」は、けっこう誤りが多いですね。
もっとも、英語と日本語の発音とでは基本的に全く同じ音は無いので、厳密に言い出したらきりが無いのは確かです。ただ今回のsit/shit 程度の違いなら、カタカナでも表記できる程度なので、日本人の誰もが区別可能なはずです。
sit. [sɪt](スィット)
shit [ʃɪt](シット)
英会話をする方なら、カタカナで書いて表現できる程度の発音は、すぐに直しましょう。
辞書を見ると、
sit [スィット] と shit [シット]の違いすら指導されず、カラオケの振り仮名に「シット」と堂々と表示されてしまう。
英会話の場面ではもちろんですが、印刷物その他で何かのために英語をカタカナ表記する際にも、本来辞書ぐらい引いてから外に出すのが当然だと思います。他の英単語や外国人名などをテレビやニュースで見る限り、報道関係者や出版社とか放送局なども、辞書チェックを怠っているケースが多く見られます。
日本中で慣例となってしまっているのを今さら改めるのは大変かもしれませんが、本来は学校教育から直すのが筋だと思います。
英会話学校や企業向け英語研修でも、たいていのネイティブスピーカー講師は「指摘しても直らないから…」とあきらめてしまっているようです。
僕は以前企業語学研修の仕事で、ネイティブ講師のレッスンを何百回と見学してきましたが、そこを指摘することはほぼ無かったです。
■ 発音ミスは笑いごとではない
「日本人の英語だと割り切ろう」
「通じればいいんだよ」という声も聞こえてきそうですが、ビジネスや接客、正式な場ではそうもいきません。
たとえば、”Would you like to sit here?”(こちらにお座りになりますか?) が
“Would you like to shit here?”(ここでウ○コされますか?) と聞こえたら…
場の空気が凍るのは間違いありません。
■ まとめ:カラオケで気づく、日本英語教育の課題
今回のカラオケの一件は、笑い話のように見えて、実は日本の英語教育の根深い課題を映し出していると感じました。
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ALTを雇っても、発音指導がなければ意味がない
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中高でリスニングがあっても、音の違いが教えられなければ意味がない
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カタカナ表記に頼り切ると、恥をかくこともある
- 英語を使う前には、面倒くさがらず辞書を引くこと
だからこそ、学ぶ側も「音」に敏感になり、
教える側も「音の違いをどう伝えるか」を工夫する必要があります。
僕は、英会話学習者には、発音記号の修得と「発音が苦手でも、せめてカタカナ表記できる程度の発音は直そう!」というコンセプトで「カタカナ英語ブートキャンプ」というプログラムを15年ほど行っています。またこのブログ内でも1カテゴリーとして取り上げていますので、よかったらご覧下さい。